私のサントラへの概念を変えてくれた作品の一つ。

考えるに、いいサントラというのは2つの要素を持っている。
一つは作品の雰囲気を裏からそっと支えることができるということ。
もう一つは、作品の内容と同じくらい印象の残るメロディーを持っているということ。
安瀬聖の作る楽曲は2つの要素をバランスよく兼ね備えている。

彼女は他にも数作のゲームサントラを担当しているが、サントラとしての完成度は今作が一番ではないだろうか。

この曲集を知ったのは高校時代、とある楽譜配布サイトで収録曲「さくら」と「ぬくもり」のピアノ譜を見つけたことからはじまりました。エロゲーなんて言葉すら知らない時代でしたので、「これはいい曲だ」とがっつり練習し、文化祭にて一般大衆の方々に披露し拍手喝采をいただいたのはいい思い出です（ぇ

…というわけで今では立派なオタな私ですが、何も知らないカッコつけたがりだった高校生男子を夢中にさせ、一般の人々に聞かせて高い評価をいただけた。これだけで、この曲集がエロゲサントラという枠を超えた規格外の良作ということが理解いただけると思います。

この曲集はエロゲサントラでは珍しく生音ピアノと弦楽器だけで構成されています。ジャンル的にはイージーリスニング系になるのでしょうか。すごく自然で、耳に心地よく、おそろしく心を揺さぶってきます。ちょっと前流行った癒しブームとか裸足で逃げ出すほどです。

言うことはありません。とにかく買って聴いてみてください。ジャケットが恥ずかしかったら裏返しましょう（ﾏﾃｺﾗ

ついでにGardenサウンドトラックもオススメ。作曲者はこれと同じ安瀬聖さんです。こちらもとんでもない良盤です。

表題のとおりPCゲームのサウンドトラックCDだが、内容はピアノならびにピアノ+弦楽で構成されたインスト曲集である。ジャンル的に見て一般の人々には聞かれることのない曲であるが、少なくとも一般に知れ渡っている音楽にも全く引けをとることはなく、寧ろそれ以上の輝きを持っていると思う。事実普段ゲームなど全くやらない筆者の家族、ピアノ教室の先生にも聞いていただいたところ非常な高評価を得た。

この作品の本当の「良さ」をいくら言葉で伝えようとしても、それには自ずと限界がある。なぜか？　それは直接旋律を聞かない限りどれだけの作品なのか判らないということもあるが、それ以上にゲームだから、アニメだからと食わず嫌いしている人があまりにも多いためでもある。
そういう人にこそ薦めたいアルバムが、ここにある。一度聞けば偏見と概念は音を立てて崩れ、新たな感性が築かれるであろう。

※この作品に収録されている、3つの種類がある「さくら」　ここまで端的に、日本人が持つ桜に対する感覚を的確に表した曲が未だ嘗てあっただろうか。しかも旋律のみでそれを全て表現している点がこの作品の一番の魅力。半ば強引に詩で桜をイメージさせる曲が多い中、この作品はあくまで自然に、それを表現しているように思える。

全曲ピアノのみというゲームのサントラとしては珍しいCDです。
個人的には「さくら」、「別れ、そして出会い。」がお気に入りです。
優しく穏やかな曲が多く、ゲームをプレイした人には勿論、そうでない人にもヒーリングミュージックとしてお勧め出来る良いCDだと思います。